【思いやりの本質:気持ちを伝える技術】

桟橋の金具
桟橋の金具

「結婚生活には思いやりが大事だ」

よく聞く言葉です。

でも、その‘‘思いやり‘‘という言葉の意味を本当に理解している人はどれぐらいいるでしょうか?

私はある時、「思いやりって何だろう?」と深く考えるきっかけをもらいました。

思いやっているのに、なぜか伝わらない_その違和感から始まった

ある日、私は妻の家事の負担を減らそうと、洗濯や洗い物を済ませておきました。

「これで少しは喜んでくれるかな?」

と、思っていたのですが、妻の反応は思いがけないものでした。

無言、そしてため息・・・。

「はっ!?なんで?せっかくやってあげたのに・・・」

私は戸惑いました。

「思いやっているつもり」でしたが、妻にはまったく届いていなかったのです。

■私が気づいた‘‘思いやりの第一歩‘‘は「観察」だった

最初は、正直「感謝ぐらいしてくれよ」と思いました。

でもその気持ちをぐっと飲み込んで、まずは妻をよく観察することにしました。

・いつ、どんな順番で家事をしているのか?

・どんなところを丁寧にやっている?

妻を見ていて気づいたのは、私の家事が‘雑‘‘だったこと。

妻の家事が100%だとしてら、私は40%ほどの出来だったのです。

コンロの汚れ、台布巾の漂白、食器をしまう場所_。

妻は細部まで手を抜かずやっていました。

そしてある日「妻が嫌いそうな家事だけをやってみよう」と思い、続けてみたんです。

すると、ほんの少しずつですが、妻の反応が変わってきました。

そして、ついに「ありがとう」と言ってもらえるようになったのです。

思いやりは「してあげる」ではなく、

「相手のために、自分ができることを見つけて行動する」こと。

それを教えてくれたのは、家事でした。

■‘‘良かれと思って‘‘が裏目に出ることもある

私はかつて、妻の誕生日にサプライズを企画したことがあります。

でも、反応はいまいち・・・いや、むしろ困った顔をされてしまいました。

あとから聞いたら「サプライズされるとなんだか恥ずかしくて苦手・・・」と。

サプライズって、誰にとっても嬉しいものだと思っていた私には、軽い衝撃でしたw

しかし、またここで一つ学びました。

思いやりは、自分の‘‘やりたい気持ち‘‘だけで動いてはいけない。

相手の価値観をよく知らないままの親切は、ただの自己満足になることがある。

■思いやり=相手の「今」を細かく読み取る技術

思いやりは単なる優しさではありません。

相手の感情や背景を汲み取ってこそ成り立つものです。

・今日は疲れているのかな?

・不安を感じてないか?

・言葉にはしていないけど、何かを我慢していないか?

これらを一瞬のうちに考え、行動に移す。

それが「思いやり」の本質です。

そして、そこには‘‘正解‘‘がありません。

毎回、相手の反応や状況に応じて、答えを自分で出すしかない。

つまり、人間関係の中でもっとも高度な技術が求められる分野だと私は感じています。

■大切なことほど、抽象的に語られる

私は常々思います。

本当に大切なことほど、抽象的な言葉でしか語られないことがある。

なぜなら、思いやりのように相手によって正解が変わるもの、状況によって行動が変わるものは、「こうすればOK」という形に落とし込むのが非常に難しいからです。

だからこそ、「思いやりが大事」と言うけれど、それ以上は語られない。

それは「簡単だから言葉が少ない」のではなく、難しすぎて要約した言葉に変えられないからです。

さらに言えば、

思いやりには本来、高度なコミュニケーション力が必要であるにも関わらず、世の中では「相手の気持ちを考えること」くらいの簡単なこととして扱われがちです。

その背景には、SNSなどで発信される、

「私は妻に〇〇したらうまくいった」

「家事を手伝うのが一番効果的」というような、

‘‘行動‘‘と‘‘結果‘‘だけを切り取った発信があるのではないかと感じます。

本当に大切なのは、

その行動に至るまでの「観察」と「思考」の部分。

「相手を見てどう思ったのか?」

「どうするのがこの場面ではベストなのか?」

という‘‘思う‘‘プロセスです。

その最も重要なプロセスが語られないまま、結果だけが伝わると、受け取る側はただのノウハウとして受け取ってしまいます。

けれど、

思いやりはテンプレートではありません。

相手の「今」に寄り添い、自分の頭で考え、心で感じてこそ生まれるものなのです。

■最後に:思いやりの先にあるのは、相手の笑顔

思いやりは、高度なコミュニケーションです。

そう聞くと、ちょっと構えてしまう方もいるかもしれません。

でも、完璧を目指す必要はありません。

その一歩目として、

まずは「相手の変化に気づくこと」から始めてみませんか?

小さな変化に目を向けることこそが、思いやりの原点です。

そこから自然に声をかけたり、手を差し伸べたりという行動につながっていきます。

そして、たとえうまく伝わらなくても、

「相手のことを考える時間」が少しでも増えたら、それだけで大きな意味があります。

思いやりは、

「理解しようとする姿勢」から始まる

私はそう信じています。

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